事務所からのお知らせ
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はじめてのQMS調査(1)計画段階
2022.02.01
NEWS
1 製造販売業許可を取得する前の準備が鍵です
クラス2や3の医療機器の認証、承認取得を目指している新規参入事業者の方は、医療機器製造販売業(第1種、第2種)を取得するだけでなく、その先に製品の審査を受けたり「QMS」が適切に実施されているかどうかの調査(QMS適合性調査)を受けたりします。
QMSの調査は、認証の審査をする機関(登録認証機関やPMDA(医薬品医療機器総合機構))が行います。
調査において、組織、業務のプロセスなどを確認されます。
また、QMSが、品質マニュアルや各種文書に基づいてひととおり実施され、そのうえで製品の申請に至っていることを調査されます。
製品の認証・承認申請書が適切に作成されているだけではなく、その製品が適切なQMSの運用の結果申請されていることが必要なのです。
そのためには、医療機器製造販売業許可の申請の前、つまり製品の認証や承認の取得の計画の時点で、QMSの体制構築や運用についても計画しておく必要があるのです。
2 調査を受けるために
製造販売業許可を自力で取得したり、医療機器の専門ではない行政書士さんに申請書作成を依頼されたりすることもあるかもしれません。
この場合によく見られる落とし穴があります。
品質管理監督システム基準書(品質マニュアル)などの文書がサンプルどおりで会社の業務実態や製品の製造・輸入・販売のフローに合っていないことがあるのです。
この場合、製造販売業許可を取得することはできても、品質管理監督システム基準書や手順書に基づく適切な運用ができず、QMS調査において数多くの指摘を受けてしまうのです。
もし皆様の会社がこのような状況に陥る可能性があるならば、認証や承認の申請をする前に、QMSの体制(組織、文書、プロセス等)が適切であるのどうかを十分確認しましょう。
また、製品の認証・承認申請の内容がQMSと矛盾がないようにしておくことも大切です。
認証・承認の申請所は、QMSの実施の結果(アウトプット)としてできあがるものだからです。
時系列、内容、裏付け資料…… 皆様の認証や承認の申請計画はQMSとむ順がないようになっているでしょうか?
3 失敗事例
ある事業者の方は、上層部の命により、医療機器の認証を3ヶ月で上市する計画を立てました。
担当者の方は品質管理監督システム基準書や手順書サンプルを用いて形だけ整えて製造販売業許可を都道府県に申請。審査担当者は、会社の業務の実態と文書が乖離していることを指摘しつつも、文書には「法令で最低限定めなければならない事項」が定められているため、許可を出しました。
品質管理監督システム基準書は、会社が「その基準で医療機器の管理業務を行います」と自ら定めた基準です。
したがって、定めた以上は実施しなければなりません。
しかし、その会社のご担当者様は医療機器に関する教育を受けたことがなく、何を実施すれば分かりませんでした(初めて医療機器の申請をする会社の方であれば、珍しいことではないと思います)。
そのまま認証申請を行いました。
申請を受けた認証機関はQMSの調査を実施します。
調査において、40件以上に及ぶ「不備」の指摘を受けることとなりました。
実施すべき事項の未実施、自ら行うこととした事項が実際の業務と異なっている、などが理由です。
結果的に、40件もの不備を改善期間内に改善することができず、ここで行政書士に相談をしました。
行政書士はこの事態の原因として以下のように考えました。
・QMS体制の構築が行われておらず、形式的に単に文書を揃えるだけになっている。
・管理監督者(経営者)が現場任せで、医療機器の許認可規制について理解が十分でなく、担当者に対して必要な教育が行われていない。
行政書士は認証取得という目標から現状とのギャップ(課題)を明確にし、体制構築の支援と実施の支援を行いました。
その結果が認証申請書という形になるのです。
※以上の事例はフィクションですが、似たような事例は存在します。
4 着手前に知っておきたいこと
・医療機器の認証や承認の取得は、単に書類を整えて出すという作業ではないことを理解する。
・医療機器の製造販売の計画を立てて実施する。
・体制構築や教育訓練をしっかり行う。
許可や認証を取得することは、会社にとって医療機器事業者としてのスタートです。
医療機器というステージに上がれるように、計画的に進めましょう。
5 クラス1のみを取り扱う製造販売業者の場合
クラス1のみを製造販売する場合、QMS適合性調査がありません。
しかし、QMSに則った管理がされていることは必須です(基本要件基準)。
また、医療機器製造販売業の許可期限の前に都道府県によってQMSの体制が維持されていることの調査を受けることになりますので、QMSの適切な運用は必須です。
6 行政書士に相談するタイミング
はじめて医療機器業界に参入される場合は、医療機器の認証や承認の取得までの一連の流れを計画する前に、あるいはその計画に着手する時点で、医療機器の許認可・QMSに経験のある行政書士にご相談されることをお勧めします。
ご相談段階では、ご相談の次の段階は実際の業務サポートとなります。この時点では貴社の実際の目的、計画について具体的な助言をしてくれます。進め方についての助言もあるでしょう。
もし自社に知識・経験が十分アル担当者の方がいらっしゃらないなら、具体的な計画立案や実行段階については、行政書士に許認可申請・QMS体制構築と運用、認証や承認申請とその審査対応の一連のサポートを依頼されることをお勧めします。
社内の知見を超えた知見を得ることができるかもしれません。
そして、QMS体制の構築や運用は、これから医療機器製造販売業者(製造業者)として業務を行う上での礎となることでしょう。