事務所からのお知らせ
-
【2025年11月20日施行】薬機法改正による医療機器事業者への影響等について
2025.07.29
製造業
2025年5月 改正薬機法が成立
2025年5月14日に改正薬機法が成立し、7月25日に、政令により施行が11月20日になるとされました。
本改正は医薬品の不正製造や供給不足といった事案を背景に、主として医薬品の品質管理・安全管理の体制強化を目的としています。本ブログでは、主に医療機器の製造販売業者に対する影響と、既存のしくみ(QMS、法令遵守体制の整備など)とからめて、医療機器製造販売業者が本改正をふまえてどのような対応をすべきかについて、私見を述べます。
主な改正ポイント
1.医薬品等の品質及び安全性の確保の強化
①医薬品製造販売業者における医薬品品質保証責任者及び医薬品安全管理責任者の設置を法定化する (従来は省令で規定)
②指定する医薬品の製造販売業者に対して 、 副作用に関する情報収集等の計画の作成と実施を義務付け
③法令違反等の場合に製造販売業者等の薬事に関する業務に責任を有する役員の変更命令を可能とする2.医療用医薬品等の安定供給体制の強化等
①医療用医薬品の供給体制管理責任者の設置、出荷停止時の届出義務付け、供給不足時の増産等の必要な協力の要請等を法定化。また、電子処方箋管理サービスのデータを活用し、需給状況のモニタリングを行う。
②製造販売承認を一部変更する場合の手続について、変更が中程度である場合の類型等を設ける。
③品質の確保された後発医薬品の安定供給の確保のための基金を設置する。3.より活発な創薬が行われる環境の整備
①条件付き承認制度を見直し、臨床的有効性が合理的に予測可能である場合等の承認を可能とする。
②医薬品の製造販売業者に対して、小児用医薬品開発の計画策定を努力義務化する。
③革新的な新薬の実用化を支援するための基金を設置する。
4.国民への医薬品の適正な提供のための薬局機能の強化等
①薬局の所在地の都道府県知事等の許可により、調剤業務の一部の外部委託を可能とする。
②濫用のおそれのある医薬品の販売について、販売方法を見直し、若年者に対しては適正量に限って販売すること等を義務付ける。
③薬剤師等による遠隔での管理の下で、薬剤師等が常駐しない店舗における一般用医薬品の販売を可能とする。医療機器の製造販売業者への影響
医薬品の品質管理・安全管理の強化製造販売業者による製造業者等の管理を強化し、製造販売業者の社内において品質管理のPDCAが適正に機能するように意図した改正となっています。
具体的には
- 省令で規定されている品質保証責任者と安全管理責任者について、法律レベルで規定された。
- 医薬品の品質保証の統括の遂行のために必要があるときは、医薬品品質保証責任者は、医薬品総括製造販売責任者に対し、意見を書面により述べなければならないとされた(法定化・義務化)
- 厚生労働大臣は、医薬品品質保証責任者又は医薬品安全管理責任者について、その者に医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律その他薬事に関する法令で政令で定めるもの又はこれに基づく処分に違反する行為があったときは、その製造販売業者に対して、その変更を命ずることができるものとすること(品責・安責の変更命令)。
- 医薬品の製造所等が基準に適合していることの定期的な確認の義務化(法定化)
従来GQP省令で規定されている事項が、医薬品に関しては法定化されています。
また、品責・安責の変更命令が新たに規定されました。医療機器の製造販売業者の今後の対応 (私見)
以下、私見込みで医療機器の事業者の対応をご説明します。
(1)医薬品品質保証責任者、医薬品安全管理責任者について
これらは医薬品製造販売業者の規制の変更です。
医療機器製造販売業者は、引き続きQMS省令とGVP省令に基づき、国内品質業務運営責任者、安全管理責任者の配置が必要です。
ただし、医薬品と医療機器の両方の製造販売業の業態を有している事業者の場合、責任者の兼務の可否、組織の見直しなどが必要となる可能性があります。
今後発出される国の通知や事務連絡に留意して対応を検討しましょう。(2)QMS省令に基づく適切な運用
医薬品において、外部委託先製造所の管理の強化(法定化、18条3項)や、品責・安責の変更命令が規定されています。
GQP省令では「適切な製造管理・品質管理の確保」の規定があり、要するに自社及び外部委託先製造書等の購買管理(供給者管理)を適切に行うことが規定されています。
医療機器のQMS省令においては「外部委託」「購買管理」や取決め書等の規定が相当する都いえます。
今後医療機器において不祥事が相次げば、この動きは、医療機器に波及する可能性があると考えます。
QMS体制の維持、QMSの運用は製造販売業者の義務です。
外部委託先である医療機器製造業者においても同様に適切なQMSの実施が必要です。また、適切なQMSの維持は、法令遵守の一環でもあります。
2021年(令和3年)の法改正で法令遵守体制の維持が義務づけられ、また、医療機器等の業務に責任を負う役員「責任役員」が法定化されました。
つまり、責任役員はQMSの維持に責任を持ってあたる必要があります。毎年計画的にQMSの運用を実施しましょう。
特に、内部監査、マネジメントレビューは重要です。
QMSの運用に不安がある場合、まず内部監査をしっかり行って問題点を抽出することをお勧めします。
QMSの定期ミーティングによる助言や内部監査の実施については弊所にご相談ください。特に数名規模の小規模組織について内部監査実施支援を多数させていただいています。
補足 一部の医療機器における届出等について(私見)
近年、「クラス1」(一般医療機器)、特に一般的名称「温熱用パック」において不適切な届出が相次いでいました。その問題を背景としてその後一般的名称「家庭用遠赤外線血行促進用衣」が新設されました。
(広告等においてリカバリーウェアなどと呼ばれているもの等)
しかしながら、家庭用遠赤外線血行促進用衣のなかには、基本要件基準に適合しないものも含まれているように仄聞しています。
クラス1の医療機器の製造販売を行う際に製造販売届を製造販売業者が提出します。
製造販売届は届出制であり、クラス2以上の医療機器と違って審査がありません。
そのため、衣類に関しても、届出さえすれば医療用のような効果を謳えると誤認している事例が少なくないようの思われます(弊所にも多数のお問合せ・ご相談をいただいています)。
医療機器は箔付けではなく規制であり、基準への適合は製造販売業者の責務です。
不祥事が相次いだ場合、法改正により医療機器の規制が強化される可能性もあるのではないでしょうか。
行政手続きも法令遵守体制の一環です。
適切な許認可の管理のしくみを社内に構築し、あるいは外部の知見を活用できるような体制を整えることをお勧めいたします。
※家庭用遠赤外線血行促進用衣の製造販売については、弊所では適切に基準適合している製品の届出を支援しています。貴社が家庭用遠赤外線血行促進用衣の製造販売をご計画になっている場合、まずご相談ください。
